心理反応の評価
統計処理は全回出席した12名を対象に行い、多重比較はHolm法を用いた。
「不快-快」、「睡眠-覚醒」
全般的に、座学の解説よりも、機材を使った実習や組み立て作業において快感情が高い傾向が見て取れる。同じく、睡眠-覚醒は、解説において低く、実習において高い傾向が見て取れる。電子回路の組み立てにおいて高い傾向が見て取れる。
「不快-快」に各回で有意な差は認められず、「睡眠-覚醒」は、2回目<5回目、4回目<5回目となり電子回路の組み立てが特に高い覚醒を示し、解説回が特に低い覚醒状態であることが示された(不快-快:F(5/55)=1.89, ns;睡眠-覚醒:F(5/55)=4.38, p<.05)。
「活気のある」、「楽しい」
「活気のある」に関しても測定や組み立てなどの実習において高い傾向が認められた。「楽しい」に関しては全般的に高い傾向にあったが、座学の解説ではやや低い傾向が認められた。
「活気のある」は2回目<5回目となり、解説回が電子回路の組み立てより低かった。「楽しい」は各回で有意な差は認められなかった(活気のある:F(5/55)=3.54, p<.05; 楽しい:F(5/55)=0.92, ns)。
「充実した」・「集中した」
「充実した」は解説においても比較的高い点数を維持しており、座学と実習で明確な差は認められなかった。「集中した」は、測定や組み立て、プログラミングなどの実習において高い傾向が認められた。
「充実した」、「集中した」ともに各回で有意な差は認められなかった(充実した:F(5/55)=0.81, ns; 集中した:F(5/55)=1.48, ns)。
(※最終回(プログラミング)が両方とも妙に高いのは、ひょっとしてチャットGPTによるサポートの影響?)
「主体的な」・「受け身な」
「主体的な」は測定や組み立て、プログラミングなどの実習回において明確に高く、座学で解説を行う回では低い傾向が認められた。「受け身な」は、座学による解説回で高く、組み立てプログラミングでは低い傾向が認められた。
「主体的な」は、1・2・4回目<5回目、2・4回目<6回目、4回目<3回目となり、全体として講義回が実習回(電子回路くみたて、心拍変動測定、Pythonプログラミング)より低い傾向にあった。「受け身な」は1・3・5・6回目<4回目となり、講義のみを行った4回目が特に高かった(主体的な:F(5/55)=10.54, p<.01; 受け身な:F(5/55)=5.25, p<.01)。
「興味深い」・「理解度」
「興味深い」に関しては僕の回の授業が4点を超えており比較的高い評価が得られている。Python言語によるプログラミングが電子回路と同じ得点となっている。「理解度」は、座学が低く実習が高い傾向にある。
「興味深い」に各回で有意な差は認められなかった。「理解度」は5%水準で有意な効果が認められたが、多重比較の結果各回に有意な差はみとめられなかった(興味深い:F(5/55)=1.50, ns; 理解度:F(5/55)=2.95, p<.05)。