はじめに
卒論の実験で取得したデータをもとに, js-starから3要因の分散分析(AsBCモデル)を行っていたところ, 二次の交互作用で有意な差が認められた。しかし, js-starでは二次の交互作用の下位検定が行えなかった。一時は断念したがネットで調べると, js-starのもととなった「R」は下位検定を行うことが可能であった。今回は, Rによる下位検定および使用上の注意点をまとめる。
1. R-4.3.1
・Download:リンク
・js-starとの連携方法:リンク
2. パッケージ
デフォルトでも分析は行えるが入れておくと便利なパッケージを紹介する。パッケージのインストール方法は, 「パッケージ→インストール→Japan→(任意のパックを選択)→ok」を行い, スクリプト画面に「library(パッケージ名)」を入力して漸く使用できる。全体的な操作を通じてPython感があった。
library(Rcmdr):マウス操作で分析を行う
library(sem):Rcmdrのみだとエラー表示のため
library(psych):記述統計量の出力
3. Rの分析方法
ここでは, js-starの算出結果を元に, Rの3要因分散分析の分析方法および結果の見方について紹介する。なお, プログラムはjs-starで発行されるため, 基礎知識は不要。
① js-starで分析
通常通りjs-starから分析を実行する。ページを下部にスクロールさせ「Rプログラム:第1~3枠」のプログラムを用いる。それぞれ「第1枠=データセット」「第2枠=主効果, 交互作用」「第3枠=多重比較, 単純効果」を表している。
② Rで実行
Rに移動し, 「library(Rcmdr)」を実行する。その後, Rスクリプト部分に, 先ほどの「Rプログラム:第1~3枠」のプログラムをコピペする。実行する箇所を聞かれるため, ctrl+Aで全選択した後, 実行を行う。すると赤文字でプログラムが書き込まれ, 統計結果は青文字で記載される。また, それに応じた図も表示された。
③ 結果の見方
正直な話, 出力画面に何百行も表示されているが, 第3枠の出力は第2枠も補っているため, 省いていい。また, Rを使用して感動したのが, 統計結果をレポート形式でまとめてくれることだ。つまり, 第3枠の「#結果の書き方」を確認すれば, この長い出力結果と睨めっこしなくていいようだ。下記が出力結果の例である。
- 要因Aを参加者間,要因B・Cを参加者内に配置した3要因分散分析(TypeⅢ_SS使用)を行った結果 (Table(tx1)参照),主効果Aが有意でなく (F(2,11)=1.196, p=0.338, ηp2=0.179, 1-β=0.866),主効果Bが有意傾向であった (F(1,11)=3.99, p=0.071, ηp2=0.266, 1-β=0.842)。
- 二次の交互作用を分析するため単純交互作用検定 (α=0.20) を行った (Table(tx5)参照)。その結果,A3におけるBxCが有意であった (F(4,44)=9.366, adjusted p=0, ηp2=0.46)。以下,有意な単純交互作用についてさらに単純・単純主効果検定 (α=0.35) を行った (Table(tx7)参照)。A3におけるBxCについては,単純・単純主効果BがC5で有意であり (F(1,11)=9.317, MSE=0.301, adjusted p=0.17),B1の平均0.681がB2の平均-0.377よりも大きかった。
一部省略したが, 主効果・一次の交互作用・二次の交互作用の下位検定が確認できる。この記述方法を推奨されているなら, 分析後コピペで済む。めちゃくちゃ楽だ。
*単純交互作用・単純単純主効果の検定の有意確率については他と同様に5%水準のため, α=0.35を基準に判断するのは疑問に残る。デフォで動かしているため, パッケージなどを入れないとダメなのかもしれない。
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まとめ
Rによる分析方法を紹介したが, js-starを介せば, プログラムも一切不要。また, 統計結果もレポート形式でまとめてくれて, この面のみ見れば非常に便利であった。また, パッケージなどを使用することにより, 上記で紹介した分析ツール以外にも「PDF化, レポート作成, Googleの各種API取得」などできるようだ(サイト)。Rには驚かされてばかりだ…sasよりこっち習いたかったな。